DASL SPECIAL TALK 2015/08/11 Vol.1『マーケティングテクノロジー時代のコンサルタントに求められる能力』 DAサーチ&リンク sembear代表 田村 理治田 耕太郎氏

「ゲスト対談」は、DAサーチ&リンクの社員が、様々な分野のエキスパートやビジネスパートナーと、毎回異なるテーマでトークセッションを行う企画です。記念すべき第1回は、DAサーチ&リンクのコンサルティング能力開発の外部講師として社員のスキル醸成に注力頂いているsembear代表の治田耕太郎氏に、弊社メディア&ソリューション開発部長の田村理が、”マーケティングテクノロジー時代のコンサルタントに求められる能力”というテーマでお話をうかがいました。

イントロダクション

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田村:治田さんとは2013年のSearchSummitでお話させて頂いてからのお付き合いですね。

治田:そうですね。DAサーチ&リンクのコンサルタント個別指導も2年目に入りました。

田村:治田さんはデジタルマーケティング領域でのコンサルタントとしての実績はもちろん、昨今高度化が進むアドテクノロジー分野にも長けていらっしゃることから、是非にということで、弊社メンバーへの研修講師をお願いさせてもらっていますが、おかげさまでこれまでに受講者のコンサルティングスキルを大きく向上させることが出来ています。

課題解決のアプローチに必要な2つのスキルセット

田村:さて、広告主の課題解決に向けたコンサルティングサービスを提供するにあたっては、広告運用の高速PDCAを適切にまわしていくことが重要になりますが、一方でそれだけに終始していると、そのうち視野が小さく単眼的になって施策がワンパターン化してきたり、コンサルタントとしての成長が停滞してしまうというスパイラルに陥るケースは良くある話だと思いますが、実際そのあたりはいかがでしょうか?

治田:それは良くある話ですね。私は以前に海外でオーストラリアやイスラエルなど多国籍のメンバーたちと運用型広告やデジタルマーケティングに携わっていたことがあるのですが、彼らは皆、自分の領域を広告運用のPDCAだけに閉じず、クライアントの課題解決にとって何が最適なアプローチなのか?ということを、とても広い視野で考えていました。 そして、彼らはテクノロジーに対するアンテナや見識がとても高いので、ヒトによる運用改善と合わせて、ヒトでは実現できないことについても、様々なテクノロジーをどのように使えば最も効果的に課題を解決できるのか?という解を適切に導きだすことができるんです。 つまりクライアントの ”課題を解決するために運用するという視座を持つ”、言い換えれば “運用すること自体が仕事にならない視座を持つ” ということが、まずコンサルタントの基本姿勢として求められることかなと思います。

田村:そうした視座を高いレベルで有する人材の育成には、コンサルタントとテクノロジストという両面からのアプローチが必要になりますね。

治田:クライアントの課題解決にあたり、そのふたつのスキルセットは時に共存させねばなりません。このテクノロジーとこのテクノロジーをこう組み合わせるとこういうソリューションになる、という視点を持っていないと、いずれ致命的なマイナスになるでしょう。 リターゲティングを例に挙げれば、ユーザーをサイトに誘導させるテクノロジーと、訪問したユーザーに再度広告を配信するテクノロジーが存在するわけで、どのように効果的な広告を出すか、モチベーションをどう切り分けるのか、可視化をどのように行うか、ということを、それらの仕組みを正確に理解したうえで組み合わせて考えるべきです。そんな局面で“私はリターゲティング運用の担当です”とだけ言ってしまうような人もいますが、そのような一元的なものの見方では課題の解決には結びつかないですからね。

テクノロジーの理解と究明力がコンサルタントのバリュー

田村:テクノロジーを理解し、使いこなすことで分析や提案の幅は大きく広がるので、その重要性は、もはや自明の理でしょう。ただ、最近ではデータサイエンティストとよばれる人々にスポットがあてられることが多く、単に流行りに便乗してプログラミングや統計学を学ぼうとする風潮も散見されるのですが、個人的にはこれに違和感を感じています。 というのも、我々の業界においては、運用型広告のプロとして仕事をする以上、まず広告運用に対する十分な知見を身につけるべきで、それがあったうえで必要な範囲でプログラミングや統計学など周辺領域のスキルを学習すべきではないかと思うのです。 もう少し具体的に言うと、プログラムや統計学そのものをアカデミックに学ぶのではなく、このプログラムや統計手法を使うとどんなことが可能になるのか?ということを組み合わせて考えられる思考能力、すなわち“コンピューテーショナル・シンキング”の方が重要だと考えています。まあ、そのためには最低限の技術的知識が必要になるわけですが。

治田:プログラミングなどの技術に対してどのレベルまでのナレッジを持つべきか、という程度の問題ですね。それで言うと、簡単なプログラムくらいは理解しておくべきだと思います。 クライアントのウェブサイトを見て、”JavaScriptタグはこういう特徴があるからこんなことが出来ますよ”と、アドバイスできると展開が一気に早まるでしょう。同じようにアナリストとしての視点も必要で、標準偏差など統計学の基礎は理解していると良いですね。 様々な統計的な手法や技術的な要素を全て一人で理解することは決して簡単なことではありませんが、それぞれの基礎を理解した上で、それぞれのエキスパートと協働する、という形でのコラボレーションを図っていけるスキルは、年々必要性が高まっていくと思います。

田村:そのあたりが、テクノロジーの進化が激しいデジタルマーケティング領域のコンサルタントとして求められるバリューというわけですね。ちなみに、個々のコンサルタントのバリューについてはわかりましたが、会社として求められるバリューは例えばどんなものになるのでしょうか?

テクノロジーの理解と究明力がコンサルタントのバリュー

治田:会社単位では、クライアントの課題を如何につきつめて解決に導くか、という戦略パートナー的な考え方やアプローチがバリューになるでしょう。単に依頼されたことだけの広告運用を目的にしてしまうと、それはもう単なる作業代行になってしまいますからね。

田村:そうなると、当然ながらクライアントの業種別の動向や競合状況なども、しっかり把握しておく必要がありますよね。DAサーチ&リンクでは、昨年度は人材育成プログラムによるオペレーションスキルまでの醸成を行っていましたが、今年度からはコンサルティングスキルについても社内での研修体制を整備して進めていくので、是非そういった視点も持てるように教育していきたいですね。

治田:繰り返しになってしまいますが、重要なのは “どれだけ自分のクライアントのことを深く考え、広い視点で課題解決に取り組めるか”ということに尽きます。また、自分自身が提供できる価値について正確に認識しておくことも必要です。目先の仕事が終わればOKではなく一歩踏み込んでその先を考え抜くこと、そして何が足りていないのか、何をすれば良いのか、そういったことを追求するスタンスがなければ、コンサルタントとしては無価値になっていくでしょう。

変化する広告代理店の立ち位置と長期的な価値の創出

田村:なるほど、無価値ですか。怖い話ですが肝に銘じておきます(笑)。ちなみに、我々のような運用型ネット広告代理店を取り巻く環境の変化を見据えた場合、現在から将来にわたって価値を創出し続けていくためには、どのようなことがポイントになってきますか?

治田:そうですね。まず運用型広告の伸びに伴って、既に広告代理店という言葉の「代理」の指すものが、元々の ”媒体社の広告を代わりに販売する”という意味合いから、”クライアント側に立って広告運用を代行する” というものに明確にシフトしていると思っています。 そして、クライアント側に立って課題を解決する、つまりビジネスの拡大を図るというフィールドにおいては、ウェブサイトの構築やソーシャルメディアを活用したファンの醸成など、いわゆる広告以外の領域の知識も必要になってくるわけで、これらに対する基礎知識も持ち合わせていないと、運用型広告の価値を十分に発揮させることは難しいでしょう。 例えば、クライアントのウェブサイトがどのような仕組みで作られているかがわからなければ、サイトのどこにどういったユーザーを訪問させて、どう展開していくのか、という一連のストーリーを成立させることは出来ないですし。 さらに、この先 IoTが進んで、家電を始めネットにつながるデバイスが増えてくると、課題解決に向けた手法もより複雑に変化せざるを得なくなってきます。検索というアクションが行われるシチュエーションも大きく変わっていくと思うので、視点を目先の広告運用だけにおかず、常にマクロな視点をもって課題解決にとりくむ姿勢が大事です。

田村:当社の株主である株式会社電通デジタル・ホールディングス社長の遠谷氏が「領域を超えろ」ということを常々おっしゃっているのですが、まさにそれを実行していかないといけませんね! 今年度における当社の全社目標としても、“急激な事業環境の変化に対応するため、あらゆる部門・個人において業務の本質を問い直し、改革を行う。”ということを掲げているのですが、治田さんのこうしたご意見を大いに参考にしながら取り組んでいきたいと思います。引き続き、弊社のコンサルティング能力開発にもお力添えください。本日はありがとうございました!

治田 耕太郎

治田 耕太郎

sembear代表 マーケティング・コンサルタント
1999年、ライコスジャパンで検索ビジネスに従事し、検索エンジンの仕組みや解析を修得。以降、アイレップにてROIマキシマイズチームマネージャー、オーバーチュアにてプロダクトマネジメントマネージャー、NTTレゾナントにて検索行動分析とアトリビューション分析担当、Kenshooアジア太平洋地域販売担当バイスプレジテントを経て2013年独立。豊富な経験と人脈を活かし、adTech企業の支援・コンサルティングを行うと共に、高度なテクノロジーと人の知見を融合させたデジタルマーケティングの実現を目指している。
田村 理

田村 理

DAサーチ&リンク コミュニケーション・デザイン本部 メディア&ソリューション開発部部長
運用型ネット広告領域における10年以上の豊富な実務経験と、マーケティングデータ分析企業での経験を元に、DAサーチ&リンクの新たなビジネスモデルを構築するブレーンとして手腕を発揮している。ヒトとテクノロジーの融合を推進するためのソリューション開発に従事する一方、人材育成のリーダーとしても社員のスキル向上をバックアップしており、2014年には自らが中心となるプロジェクト”人材育成プログラム”を確立。
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